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福井県のメガネ産業の発祥を描いた映画『おしょりん』を観ました!

2023年12月4日投稿

福井県鯖江市といえば、「めがねのまち」として知られていますよね〜。

なんと、国内のメガネフレーム生産の95%が鯖江市で行われていて、世界でも2割のシェアを持っているそうです。しかも、大量生産の安価なフレームではなく、丁寧に作られた高品質なフレームを生産するということで、世界でも高い評価を得ています。

12月15日まで、千葉・柏のキネマ旬報シアターで上映中

ところで、なぜ、鯖江市が「めがねのまち」となったのか?その歴史がわかる映画『おしょりん』が11月3日より全国の映画館で公開されました。

私も視力が悪く、メガネ愛用者で、この映画を見たいな、と思っていました。

ところが、なんだかんだ観に行けないまま、11月を以て、ほとんどの映画館で上映終了となってしまいました。

あちゃー、と思って公式サイトを見ると、なんと、首都圏(1都3県)で唯一、12月2日から2週間限定で上映する映画館があったのです。

それが、千葉県柏市にある「キネマ旬報シアター」です。私は現在千葉市に住んでいて、柏市ならそんなに遠距離でもないので、観に行ってきました!

キネマ旬報シアターは、JR常磐線・東武アーバンパークライン柏駅に直結する柏高島屋の1階にあります。ただ、高島屋の中にあるわけではなく、駅のコンコース西口から1階に降りて道路に面したところにありました。

『おしょりん』のポスターも貼ってありました。

チケットです。

農民が冬場の収入を確保するためにメガネ産業を始める

映画『おしょりん』は、福井県のメガネフレーム産業の発祥について、実話に基づいたストーリーとなっています。

明治時代、福井県足羽郡麻生津村(現在は福井市の一部)の豪農、増永五左衛門は、豪雪地帯でわずかな農業生産のほかに主だった産業もなく貧しい暮らしをする村民の生活を向上させるため、冬の期間に農民が作業できるような地場産業がないか模索していました。

そんな中、大阪に働きに出ていた弟の幸八が、メガネフレームを地場産業にする提案をします。文明開化で活字文化が広がり、メガネをかける人が増える、と考えてのことでした。

村の大工や農民を集め、大阪や東京のメガネ職人を招いてメガネフレーム作りが始まりますが、やはりそこはド素人集団、売れものになるようなフレームができません。

それでも努力を続け、ついに、福井のメガネが全国に認められるきっかけとなる起死回生の出来事が!

感動ありの面白いストーリーでした

福井のメガネ生産の歴史には興味があったものの、映画としてはどうなのかな、と思って観ましたが、感動の場面もあり、面白かったです。

五左衛門を支える奥さんの内助の功の夫婦愛、メガネ作りの仕事が好きなのに不器用でいいメガネが出来ず、滝に身投げまでしようとした青年が、福井のメガネ産業を救うどえらい仕事をするというストーリーもよかったです。

多くの人の尽力、協力がありました

福井の人たちのメガネ作りの情熱があったとはいえ、大阪のメガネ問屋や職人が福井のメガネ作りに親身に協力する姿もいいと思いました。

度量の狭い私などは、富や技術、情報はなるべく自分で独占したい、と思うたちですが、いろいろな産業の草創期を調べると、そこに関わる人たちは、自分たちの利益に加え、まず市場を広げる、ということを考えて、技術や情報をシェアすることが意外と多い気がしています。

これからもメガネ産業に感謝です

明治時代、都市部以外にメガネを着用する人がいない中で、村の人たちもメガネを地場産業にすることに反対していました。

しかし、学校の成績が振るわない職人の娘がメガネをかけると世界が一変!それを見て、村の人たちもメガネの可能性を見出す、というシーンもありました。

私は、中学生くらいまで目がよく、視力2.0以上ありました。どうして2.0以上なのかというと、視力検査表のランドルト環の一番下もくっきり見えて、それよりも小さい環も見える自信があったからです。

ところが高校生くらいから、勉強もしていないのに視力が悪くなり、ついに大学生の時、初めてメガネをかけました。

これまで一回だけコンタクトレンズを作ったことがあるのですが、目の中にレンズを入れるのが不快でやめました。

今では、メガネ込みで自分の顔になっているまで定着したと思います。死ぬまでメガネ生活だと思います。

視力が悪いことは「病気」なのかはよくわかりませんが、少なくとも身体障害の一種だと思っています。メガネがなければ生活のほとんどのことができません。

そう考えると、私の生活はメガネ産業に支えられている、といっても過言ではありません。メガネ産業に関わる人たちにはこれからも感謝していきます。

もういちど日本がものづくり大国になるのはダメですかね

映画の中で、福井の人が売れるメガネを作れないのは、使う人のことを考えていないからだ、と叱責される場面がありました。

かつて日本はものづくり大国だったものの、今や産業空洞化によって世界における日本の工業生産の地位は低下。

だから、もはや国産品信仰みたいなことを言うのは、あまりに世界経済を知らない恥ずかしいことなのだというのはわかるのですが、私個人は、そうは言っても日本製の商品は、外国製よりユーザビリティが高い、と思っています。

これからの日本経済を考えた時、IT産業(ソフトウエア)やインバウンド需要を狙った観光産業、ゲームやアニメ、音楽といったコンテンツ産業が主になっていくんだと思いますが、やっぱり日本人は有形のものづくりが性に合っている気がするんです。

日本人の「おもてなし」精神は、むしろ物品の生産にこそ活かされるのではないかと。

〜おまけ〜

映画は、鯖江市だけでなく、福井県内の全ての市町村が協力して製作されたそうです。

だからか、映画の冒頭で、唐突に福井県の観光案内のような映像が数分流れて、珍しい映画だな、と思いました。

でも、この映像がなかなか魅力的な映像になっていて、福井県のいろいろなスポットに行きたいと思ってしまいました。

以上で〜す!